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賃貸住宅で発生した漏水は誰の責任? 状況別に責任の...
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賃貸住宅で発生した漏水は誰の責任? 状況別に責任の有無を解説

賃貸住宅で発生する漏水事故では、修繕費用の負担が誰にあるのかが重要な問題です。責任の有無は、漏水の原因によって異なります。修繕費が高額になることもあるため、賃貸借契約を結ぶ際には、この点をしっかりと確認しておくことが大切です。

この記事では、漏水事故が発生した場合の責任の有無について解説します。万が一、漏水の修繕費用を請求された場合の対処法についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

「通常の使用を超える行為」かどうかが判断ポイント

賃貸住宅で漏水が発生した際、責任の有無を判断するうえで重要なのは、借主が「通常の使用を超える行為=通常の生活範囲を超えた使い方をしていないか」という点です。たとえば、水を出しっぱなしにしたり、意図的あるいは過失により排水管を詰まらせたりした場合は、借主に責任があるとして修繕費用の支払い義務が生じることが考えられます。

【状況別】賃貸で発生した漏水は誰が責任を負う?

①台所の下で水漏れが発生した場合

台所の流し台の下から水漏れが発生した場合は、借主が通常の生活範囲内で使用している限り、過失は認められません。この場合は、賃貸住宅の所有者である貸主が修繕義務を負うことになります。配水管は生活に必要な設備であり、貸主は借主に適切な住環境を提供する責任があるからです。

ただし、水道管を破損させたなど借主に過失があれば、借主も修繕費用を負担する可能性があります。たとえば、キッチンの排水溝で食べかすや油、洗剤などによるつまりが起きた場合は、借主の責任になることが考えられます。

こうしたトラブルを防ぐためには、日常的に残菜や天ぷら油などの処理をきちんと行うことが重要です。

②洗濯機の配水管より漏水した場合

賃貸住宅でよくある水漏れの一つが、洗濯機の配水管からの漏水です。洗濯機の設置は引越し業者などに依頼することが多く、適切に設置されていないと水漏れを起こす可能性があります。

洗濯機は大量の水を使用するため、漏水が発生すると被害が大きくなります。最悪の場合、下の階まで影響が及ぶことがあり、住民から損害賠償を求められることにもなりかねません。

③風呂の水を止め忘れて水浸しになった場合

明らかに居住者の過失による水漏れもあります。たとえば、風呂の水を止め忘れて部屋の中が水浸しになった場合です。このケースでは借主の過失であるため、損害賠償責任が発生する可能性が高いでしょう。

この場合、自室の床や下の階の天井の修繕費用は、貸主に支払う必要があります。水に濡れて故障した家電の代替品購入費用は、下の階の住民に対して支払うことになります。なお、請求された床や天井の修繕費用が相当であるかについては、貸主と協議することが可能です。

下の階の住民に賠償する家電などの金額については、故障したものと同等品の価格が基準となります。水漏れ事故の原状回復費用は高額になる恐れがあるため、日頃から水道の取扱いには十分注意しましょう。

④水道の蛇口が壊れて水道代が高くなった場合

通常の使用方法にもかかわらず、水道の蛇口が壊れて水道代が高くなった場合は、貸主に対して差額を請求できる可能性があります。ただし、差額を請求するためには、蛇口の故障が貸主による放置であり、その結果として余分な水道料金が発生したことを証明しなければなりません。

たとえば、蛇口の故障を貸主にメールで報告していた場合、その記録が証拠となる可能性があります。このように、請求できるかどうかは、蛇口の故障と水道代増加の因果関係をどれだけ明確にできるかどうかにかかっています。

なお、水道局によっては、水漏れによる水道代の減額・免除制度を設けている場合があります。ただし、蛇口やトイレの水槽などからの水漏れは、原則として減免の対象となりません。

漏水の修繕費を請求された場合は?

漏水が発生した際、貸主から高額な修繕費を請求されることがあります。この章では、漏水の修繕費を請求された場合の対処法について解説します。

①賃貸借契約書で責任の範囲を確認する

まず賃貸借契約書を確認し、漏水が発生した際の責任範囲について確認することが重要です。賃貸借契約書には漏水が発生した場合の責任分担について、記載されている場合があります。

特に記載されていない場合でも、原状回復の条件については「借主の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用方法を超えるような使用による損耗等については、借主が負担すべき費用となる」などと記載されているのが一般的です。

契約内容について不明な点があれば、貸主や不動産会社に問合わせましょう。

②写真や動画で証拠を残す

万が一、賃貸住宅で漏水が発生した場合は、写真や動画で証拠を残すことをおすすめします。漏水の状況や物件の損傷を記録することで、後に証拠として利用できるからです。特に裁判などに発展した際、漏水被害にあったことを具体的に主張するために役立ちます。

撮影の際は、漏水がどの場所で起こったのかを明確に記録することがポイントです。また、スマホを使用すれば発生日時も自動的に記録されるため、貸主との話し合いでも役立ちます。

漏水の原因の究明には時間がかかることがあり、すぐに原因がわからないケースもあります。排水管の老朽化やメンテナンス不良であるにもかかわらず、借主の使い方が悪いから発生したと責任転嫁されないように、しっかり証拠を保存しておきましょう。

撮影後は速やかに床を拭くなどの応急措置を行い、管理会社に漏水事故を報告することが重要です。漏水を放置すると被害が悪化する恐れがあり、借主の過失によらない事故であっても、連絡を怠れば後に問題が発生する可能性があるため注意してください。

まとめ

賃貸住宅で漏水が発生した場合、責任の所在により修繕費用を負担する人が決まります。具体的には、老朽化やメンテナンス不良による漏水は貸主、借主の過失によるものは借主が修繕費用を支払うことになります。

漏水は建物の内部を傷めるため、高額な修繕費用がかかるケースがあります。そのため、賃貸借契約では、万が一に備えて借主も入居者保険に加入するのが一般的です。不慮の漏水事故による負担を軽減できるため、加入しておくと安心でしょう。

水漏れトラブルは、早めに対処することで被害を最小限に抑えられます。落ち着いて行動し、適切な対応を取りましょう。

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